Fuji Outdoor Base Blog

【登山装備】富士山ガイドが教える富士登山に必要なもの(最低限揃えたい山の三種の神器)

普段は山になんか登らないけど1度は富士登山に挑戦してみたいという方は大勢いらっしゃいます。実際に自分がガイディングしたお客様の大半が普段アウトドアなんてやってないし、山の装備なんか持っていないし、そもそも山に何をもっていけばいいかなんて分からないという方たちでした。

まして富士山は日本で一番高い山です。そんな山に登るにはいったい何が必要なんだという人向けに、本記事では富士山ガイドとして1シーズン30回以上富士山に登っているワタクシが快適に山を楽しむために最低限自分で揃えたい3つの装備について解説していこうと思います!

レインウェア

【山頂でツェルトをかぶり寒さに耐えるの図】

山の装備には三種の神器なるものが存在し、その1つが何を隠そう雨や風から身を守ってくれるレインウェアです!

山の専門店で購入すると高額ですが、個人的には絶対にケチってはいけない装備の一つだと思います。

身体を濡らさないということは登山において最も重要なことと言っても過言ではありません!富士登山のシーズンはもちろん夏ですが、山頂付近は平均で0~5℃ほどで、さらに風が1メートル/秒吹くと体感温度は1度下がります。

つまり夏でも体感温度はマイナスを下回る可能性が大なわけです!!そしてその状態で身体が濡れてしまえば低体温症待ったなしです!!温泉に行ったときに身体を濡らした状態で露天風呂に出るときめっちゃ寒いですよね?それと全く一緒です!

低体温症は本当に恐ろしく、体温が下がってしまうと気合や根性では耐えきれない程辛いです・・・。また一度低体温症に陥ってしまうと早期回復は望めませんし、まず行動不能になり自力下山も不可能です。

カッパなら持ってるし、わざわざ高額なものを買わなくてもと思うかもしれません。しかし山での嵐は時として町で体験したことのないレベルの雨になりますし町用のカッパなんて絶対に染みてきます。また安いカッパは大体透湿性を併せ持っていません。

カッパを着るとどうしても熱がこもり汗をかきやすくなってしいます。つまりこの汗を外に出す透湿性というものが非常に重要になります。なぜなら雨で濡れなくても汗で濡れれば身体にとってはどちらも同じ状態になってしまうからです。。。

カッパだけではなく山でのウェアリングはなるべく身体を濡らさない、濡れたとしてもすぐに乾くということに注意して選ぶことが基本になります。

登山靴

【2日目は登りと下りがあるので7~8時間歩きます】

山に登るのに何が必要かと考えたときにまず思い浮かぶのが登山靴ではないでしょうか。

こちらももちろん濡れることのない素材のものを選ぶのはもちろんとして、富士山のように長時間荷物を担ぎながらの行動をする場合最低でもミドルカット(くるぶしが隠れるくらいのもの)を選びたいところです。

足首を固定することによって単純に足首にかかる疲労の蓄積を緩和することができますし、不安定な足場を歩くときに挫く等のトラブルを防ぐ効果もあります。

ただこれは完全に好みの領域でありローカットの靴にも軽くて、足の筋疲労を緩和できる、また行動のスピードを上げることができる等メリットがあります。なので絶対はありませんが、やはり個人的に初心者には安全面に重きを置いてミドルカット以上のものをお勧めしています。

ちなみに昔登山をやっていて10年、20年前の登山靴を持ってくるお客様もいらっしゃるのですが完全にNGです!なぜならろくにメンテナンスもされず長期間放置された靴はダメージが蓄積しソール剥がれ等のトラブルが頻発するからです!

実際にソールがはがれたためツアー続行が出来なくなってしまったお客様も何人かいらっしゃいます・・・💦かなりあるあるなトラブルなので気を付けましょう!

特に富士山の吉田口の7合目からは溶岩でできたゴツゴツとした岩場が8合目まで続き、さらに9合目から山頂付近までも同じような岩場になり非常に歩きづらいです。自分の足に合って履きなれた快適な靴を選ぶことが重要です!

バックパック

【バックパックから足が生えているかのよう】

最後にご紹介する三種の神器はバックパックです。

この装備も靴と同様に行動中常に身に着けているものです。このバックパックのフィッティングがうまくいっていないと背負っている重さ以上に重さを感じてしまいます!

登山は長時間歩くことが前提です。少し自分の身体に合ってない気がするけどまぁいいか・・・と思っていて長時間放置すると、その違和感は疲労として蓄積し、痛みやダルさという症状で身体に出てきてしまいます。

またバックパックを担ぐ肩回りというのは頭と胴体をつなぐ首に近い部分であり、太い血管や神経系が密集しています。

ここを長時間自分に合っていないバックパックで圧迫し続けると血の巡りが悪くなり自律神経系にも負荷がかかります。血や神経系の巡りが悪いと脳に必要な酸素が届けられず、富士山などの高い標高の山に登る際は特に注意しなければならない高度障害(高山病)にかかりやすくなってしまいます!

まとめ

本記事では登山初心者のために最低限自分で揃えるべき3つの道具について解説しました。

全部新しく買うとなかなかのお値段になりますし、購入を躊躇ってしまうのもわかります。しかしやはり自分の身を守るためには必要な投資だと思います。

今はワークマンやユニクロ等で低価なものが売られていますし、自分が実際に使っているものもあります。しかし本記事で紹介した三種の神器は絶対に登山用品店で購入したものを使用します。それは実際に厳しい環境で使用して失敗したことがあるからです・・・笑

またレンタル品を借りるという方も多いですがこの三種の神器に関してはやはりお勧めしません。。。

理由は本文でも述べた通り登山という長時間行動を前提としたアクティビティの中で自分の身体に合っていないものを使用し続けると、必ず何らかの形で身体に症状が現れるからです。

またレンタル品は不特定多数の人に使用されていますし、適切なメンテナンスや保管が行われているか完全には把握することができません。

自分の体に合い、あるべき性能を備えた三種の神器をそろえ、日常から飛び出て山の世界を安全に堪能しましょう!

【4月の爆風の富士山8合目付近にて】

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